この記事は量子コンピュータに関するシリーズの最後です。
これまでの記事では量子コンピュータの常識外れの能力がどんなものか理解していただき、その力によって仮想通貨、ブロックチェーンが破綻するという悲観的な内容でした。
まだ読んでない方は是非とも読んでください。
今回の内容は希望を持てる話です。
逆に言えば、これをしなければ本当に終わるよという話でもあります。
量子コンピュータ編がこれで完結ですね
最後に希望が残っててよかったですぅ
仮想通貨は必ず終わりますという話が分かっているならブロックチェーンアカデミアは作らないよね。学長もこれによってブロックチェーン、仮想通貨が存続することを願っているんだね
2つの選択肢
量子コンピュータの出現は、現在のブロックチェーン技術にとって大きな転換点となるでしょう。
その圧倒的な計算能力は、従来の暗号化手法を脅かす可能性があり、これに対処するためには根本的な対策が必要です。
現在のブロックチェーンにとっての選択肢は主に二つあります。
一つ目は、既存のブロックチェーンに量子耐性技術を実装することです。
これには、新しい量子耐性暗号アルゴリズムを統合し、既存のシステムを量子コンピュータの脅威から守ることが含まれます。
二つ目の選択肢は、量子技術を基盤とする全く新しい「量子ブロックチェーン」を開発することです。
このアプローチでは、量子もつれのような現象を活用し、従来のブロックチェーンの限界を超える可能性があります。
どちらの道を選ぶにせよ、量子コンピュータの時代に向けたブロックチェーンの進化は、今後の技術開発において重要な焦点となるでしょう。
量子耐性暗号化技術
量子耐性暗号化技術は2019年にイーサリアム開発者の一人が3~5年以内に実装すると発表していたが、まだ実装されていません。
ただ、2019年時点で量子コンピュータ対策をしているのはさすがですよね。
未だに始めていないところばかりですからね。
こちらは量子コンピュータに解読されないような新たな暗号化技術を生み出すということです。
- 量子コンピュータによる解読耐性: 量子耐性技術は、量子コンピュータが使用する特殊なアルゴリズム(例えばショアのアルゴリズム)を用いても破られないように設計されています。
- 新しい暗号アルゴリズム: これには、格子ベース暗号、ハッシュベース暗号、多変数多項式問題に基づく暗号、符号ベース暗号など、現在のRSAやECC(楕円曲線暗号)などの伝統的な公開鍵暗号とは異なる新しいアプローチが含まれます。
- 既存システムへの適用: これらの新しい暗号アルゴリズムは、既存の通信プロトコルやデータストレージシステムに統合され、将来の量子コンピュータに対する脆弱性を減らすことが目指されています。
量子対策していない通貨は、詐欺通貨ですぐに飛ぶからそんなお金かけて対策しなくてもよいと思っているのかなぁ
それはわからないけど、ありえない話ではないね。
それか、シンプルに量子コンピュータのことを知らないのかも(笑)
RSA、ECC(楕円曲線暗号)についてはこちらで説明しています。
量子ブロックチェーン
2018年、ニュージーランドのヴィクトリア大学ウェリントン校の研究チームは「時間的に絡み合った量子粒子を利用して分散型量子ブロックチェーンを作成する」という研究論文を発表しました。
現在実装しているブロックチェーンはありませんが、東芝と米JPモルガンチェース、米電気通信業者シエナ(Ciena)などがこの技術を完成させるための実証実験を行いました。
こちらは量子コンピュータに対抗するというよりは、量子の力をブロックチェーンに実装するという考え方です。
- 量子もつれの活用: 量子もつれは、量子状態の一つであり、複数の量子粒子が互いに影響を及ぼす現象です。
量子ブロックチェーンでは、この現象を利用してデータの絡み合いとセキュリティの強化を目指します。 - データの量子化と絡み合い: このコンセプトでは、ブロックチェーンに記録されるデータを量子状態に変換し、量子もつれによって結びつけることで、新たな形の分散型データ管理を実現しようとしています。
- セキュリティの向上: 量子もつれを利用することで、データに対する不正な変更が行われた場合に量子状態の変化を検知し、改ざんを防止するというアイデアがあります。
量子ブロックチェーンを実装した仮想通貨めっちゃ上がるんじゃない?
それは上がりそうだね!もちろん一つの要因だけでは判断されないけど、間違いなく大きなアドバンテージだね
技術的な課題
前述した2つの技術はどちらも素晴らしい技術なだけあって、開発自体が大変です。
でも、間違いなくできる技術ではありますので、安心してください。
ここで理解しておく必要があるのは、何が難しいのかということです。
技術面の課題はブロックチェーンの理解がないと理解するのは難しいかもしれません。
- 暗号アルゴリズムの更新: 現在のブロックチェーンは、特定の暗号アルゴリズムに依存しています。
量子耐性暗号アルゴリズムに移行することは理論的に可能ですが、これには全ノードのソフトウェアをアップデートし、新しいアルゴリズムに対応させる必要があります。 - プロトコルの変更: ブロックチェーンプロトコルの変更は、通常コミュニティの合意を必要とします。
特にビットコインやイーサリアムのような大規模なブロックチェーンでは、このプロセスは時間がかかり、複雑になります。 - 互換性の問題: 既存のブロックチェーンと量子耐性ブロックチェーンの間で完全な互換性を確保することは挑戦的です。
特に、古いトランザクションやデータを新しいシステムに統合することは複雑な作業になり得ます。
ブロックチェーン理解しているつもりだったのに、全然わからなかったよー(泣)
これまでの記事は初心者向けの記事が多かったけどこの内容は中級者向けって感じだからね
実装の課題
次の課題は耐量子技術をブロックチェーンに実装することです。
ブロックチェーンの特性として、24時間365日止まることなく動き続けるというものがあります。
中央集権型のアプリや会社はアップデートする間はシステムを停止することができますよね。
ブロックチェーンの場合はそれができません。
だから、ブロックチェーンの仕組みを変えることがとても難しいことは容易に想像できると思います。
考えられる課題は以下の3点です。
- コンセンサスの達成: ブロックチェーンコミュニティは、変更について合意を形成する必要があります。
これは特に分散化されたシステムでは難しい課題です。 - セキュリティの検証: 新しい暗号アルゴリズムやプロトコルの変更は、徹底的なセキュリティテストを必要とします。
これは、システムの安全性を確保するために重要です。 - アップグレードの実施: すべてのノードが新しいシステムにアップグレードする必要があり、これは特に分散型のネットワークで時間と労力を要します。
まとめと展望
ビットコインやイーサリアムなど既存のブロックチェーンに量子ブロックチェーンが実装されれば、希望はあるが、相当難しいアップデートであることは間違いありません。
では、新しく量子ブロックチェーンを実装したブロックチェーンで動く仮想通貨が登場し、主流になるかもしれません。
どちらのシナリオになるかは注目です。
ただ一つ言えるのは量子コンピュータに対応したブロックチェーンは最強であり、対応できなければ終わりを向かえるということです。
皆さんが現在保有している仮想通貨に量子ブロックチェーンが実装されるのは一縷の望みかもしれません。
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