量子コンピュータが実用化されれば社会にどのような影響を与えて、仮想通貨がなぜ終末を迎えるかは理解できました。でも、量子コンピュータがどんな仕組みなのかイメージが湧きません。
そうだよね!量子??って感じだと思うし、コンピュータはみんな毎日使っているけどどうやって動いているか説明できるかは自信ないよね。今日はまず量子とコンピュータに分けて説明するよ。
量子コンピュータがどのように世界を変え、仮想通貨を終わらせるかは別の記事をご覧ください。
コンピュータについて
みなさん、コンピュータを使わない日はありますか?
パソコン、スマホはもちろん、車、交通インフラ、信号機、電化製品、イヤホン挙げれば切りがないくらい日常はコンピュータに溢れています。
かつての私のように、コンピュータはパソコンやスマホのことだけだと思っていた方もいるかもしれません。
コンピュータは、データを処理し、保存するための電子機器すべてです。
基本的には以下のような機能を持っています:
- 入力:キーボード、マウス、センサー、タッチパネルなどを通じてデータを受取。
- 処理:プロセッサ(CPU)が命令に従ってデータを処理。
- 出力:画面やプリンターなどを通じて処理結果を表示。
- 記憶:ハードドライブやSSDなどにデータを保存。
コンピュータはプログラムに従って動作し、これは特定のタスクを実行するための一連の命令です。
そのプログラムはすべて2進数(0と1)で書かれています。
2進数のことをバイナリーといい、よくデータ容量を表すときに使うバイトやビットはここからきています。
bit(binary digit)は、0と1がデータの中に何個あるかです。
「00110101」と書かれたデータがあればそれは、8ビットです。
そして、1バイトは8ビットです。
1バイトが10億個あれば、通信制限でおなじみの1ギガバイトです。
コンピュータが解釈する言語である機械語というのは、0と1しかないので、人間はもちろん意味不明で読めません。
でも人間が命令する必要があります。
その時に機械語を人間が読むことができる高水準言語で書いたものをプログラミング言語といい、コンピュータに命令するときにはプログラミングをします。
ここで、重要なのは0と1のビット単位でコンピュータは解釈しているということです。
0と1で動くなんてすごいなあ!それだけ聞くとシンプルな仕組みですね
量子について
「量子」とは、原子や電子などとても小さな物質とエネルギーの単位を指します。
量子力学は、原子や電子などの微小な粒子の振る舞いを説明する物理学の分野です。
量子の重要な特徴は以下の通りです。
- 重ね合わせ:粒子が同時に複数の状態に存在することができます(例:電子が同時に複数の位置に存在する)。
- 量子もつれ:粒子同士が遠隔地でも互いの状態に影響を及ぼす現象。
- 不確定性原理:粒子の位置と運動量を同時に正確に測定することは不可能。
量子力学は、従来の古典物理学とは異なる非直感的な振る舞いを示し、現代科学の多くの進歩に貢献しています。
量子コンピュータは、これらの量子力学の原理を利用して計算を行います。
量子は目に見えないうえに、常識では考えられない動きをしますので、理解できなくて当然です。
量子コンピュータの生みの親であるリチャード・ファインマンもこのように述べています。
「もし何かを理解していると言う人がいれば、その人はおそらくそれを理解していない」
確かに全然理解できないよ
量子力学は別の記事で取り上げるので、今回は言葉だけを覚えてね
量子コンピュータの誕生
概念の誕生(1981年)
リチャード・ファインマン教授の1981年の基調講演は、量子コンピューターの概念を生み出す重要な出来事でした。
ファインマン教授は、通常のコンピューターでは量子力学に基づく自然現象を正確にシミュレートすることが難しいと指摘しました。
彼は、「自然は古典的ではないので、そのシミュレーションは量子力学に基づいた方法で行うべきだ」と述べました。
この講演をきっかけに、量子コンピューターの研究が加速し、今日の技術開発につながっています。
ファインマンのアイデアは、量子コンピューター研究の基礎を築きました。
研究の初期段階(1980年代 – 1990年代)
ファインマンの講演後、科学者たちは量子コンピューターの理論的基盤を築き始めました。
量子ビット(キュービット)や量子ゲートなどの概念が導入され、量子計算の基本理論が開発されました。
実験的進歩(1990年代 – 2000年代初頭)
1990年代に入ると、実際の量子コンピューターを構築するための実験が始まりました。
初期の量子コンピューターは非常に基本的なものでしたが、量子状態を操作・制御する技術が進歩しました。
技術的発展(2000年代 – 2010年代)
2000年代には、量子アルゴリズムの開発やエラー訂正技術の向上が進みました。
量子ビット(キュービット)の数と安定性が改善され、より複雑な計算が可能になりました。
商業化と実用化(2010年代 – 現在)
2010年代に入ると、Google, IBM, Microsoftなどの大企業が量子コンピューターの研究開発に参入しました。
量子コンピューターは、より多くの量子ビット(キュービット)を持ち、より実用的な計算が行えるようになりました。
現在では、量子コンピューターは特定のタスクで古典的なコンピューターを超える「量子超越性」を達成しています。
Googleが発明した量子コンピュータでは「現在世界最高の計算速度を誇るスーパーコンピュータでは1万年かかる特殊な計算を量子コンピュータが3分20秒で計算した」と発表しました。
結構古くからあるんですね
量子の性質自体が非常に難しいので、発明には時間がかかっているけど、実用化したときの影響は甚大だよ
量子コンピュータの仕組み
これまで、コンピュータと量子を個別で見ていきました。
そして、量子コンピュータの誕生の流れをサラッと説明しました。
ここからは量子コンピュータがなぜ超高速で計算できるかの説明をしていきます。そこで直接関わってくるのが、0と1のビットです。
伝統的なビットと量子ビット
通常のビット
従来のコンピュータでは、ビットという基本単位が「0」または「1」のいずれかの状態を取ります。
量子ビット
量子コンピュータの量子ビットは、「0」と「1」の状態を同時に取ることができます。
これは量子ビットが従来のビットと根本的に異なる性質を持っていることを意味します。
重ね合わせと情報処理の可能性
重ね合わせ
量子ビットは「重ね合わせ」と呼ばれる状態を取ります。
これは、「0」と「1」の両方の状態を同時に持つことができるという意味です。
この性質により、量子コンピュータは複数の計算を同時に行うことが可能になります。
確率的な観測結果
量子ビットの実際の状態は観測するまで不確定で、観測されるまでは「0」か「1」か決まっていません(不確定性原理)。
観測するたびに結果が変わることがあります。
情報処理の効率化
大量の情報処理
例えば、4量子ビットを使えば、16通りの結果を一度に処理することが可能です。
これは従来の4ビットでは1つの結果しか出力できないのとは大きく異なります。
並列処理の力
20量子ビットを使用すれば、100万(2の20乗)通りの情報を同時に処理することができます。
伝統的なビットで20ビットを使用すれば、1つしか結果は出ません。
これにより、量子コンピュータは膨大な情報を効率的に処理する能力を持っています。
伝統的なビットは一つ一つを計算していくのに対し、量子ビットは重ね合わせの性質でまとめて並列処理して計算できるからスピードが全然違うね!
正解!重ね合わせのイメージが付きにくいかもしれないね
コインの表と裏が0と1だとすると、その間のずっと回っている状態だよ
まとめ
量子コンピュータは、従来のコンピュータの計算機構に量子力学の原理を組み込むことで、計算能力を格段に向上させたコンピュータです。
この技術がもたらす変革は、単に処理速度が速くなるという以上のものです。
量子コンピュータの実現は、単に新しいタイプのコンピュータの登場を意味するだけでなく、科学、産業、社会全体の未来を大きく変えるポテンシャルを持っていると言えます。
この技術は、我々の問題解決能力を大幅に拡大し、今まで不可能だった成果を可能にする可能性を秘めています。
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