【安全第一】公開鍵暗号とハッシュ関数

この記事では、ブロックチェーンのセキュリティの具体的なところを解説しています。

最初から最後まで大事な内容が詰まっています。

しかし、技術的な話にはなるので、難しいと感じるところはあると思います。
難しいところは読み飛ばして最後まで読んでくれたらうれしいです。

ブロックチェーンの特徴である4つの性質(安全性・分散性・透明性・永続性)のうち安全性の部分を掘り下げて、公開鍵暗号とハッシュ関数について説明します。

この二つはビットコインの記事にも取引所とウォレットの記事でも出てきている超重要な技術なので、ぜひこの機会に理解しましょう。

漠然と「安全らしいよ」よりも確信が高まります。

ブロックチェーンとは?

ブロックチェーンは、デジタル情報を安全かつ効率的に記録するための技術です。

簡単に言えば、それは一連の「ブロック」で構成されており、各ブロックには取引の記録が含まれています。

これらのブロックはセキュアな方法で連結され、一度追加されると変更が非常に困難になるため、データの不変性が保証されます。

分散型の性質により、ブロックチェーンは中央の管理者が不要で、データの透明性とセキュリティを高めることができます。

ブロックチェーンのセキュリティ

ブロックチェーンのセキュリティは三つの主要な要素によって強化されています

  1. 暗号化
    各ブロックに含まれる取引データは複雑な暗号化プロセスによって保護されます。
    これにより、データの安全性が確保され、不正アクセスが防がれます。

  2. 分散化
    ブロックチェーンはネットワーク上に分散しており、単一のポイントに依存せずに運営されます。この分散化により、システム全体の耐障害性が向上し、データの損失や改ざんが困難になります。
  3. 不変性
    一度ブロックに記録されたデータは変更できないため、取引記録の信頼性が保たれます。
    新しいブロックがチェーンに追加されると、以前のブロックとの間に強固なリンクが形成され、履歴の改ざんを防ぎます。

これらの要素が組み合わさることで、ブロックチェーンは高度なセキュリティを提供し、デジタル取引の信頼性を大きく向上させます。

スピノくん
スピノくん

ここまでは復習だね。今日は暗号化の仕組みを理解しよう

公開鍵暗号

公開鍵暗号は、インターネット上で安全に情報を送受信するための技術です。

公開鍵暗号が可能にすることは、以下の二つです。

・情報漏洩、盗聴を防ぐことができる
・内容の改ざんが不可能になる

公開鍵暗号は電子メールや今見ているブラウザでも使われているくらい私たちのプライバシーを守るために核となる技術です。

公開鍵暗号の仕組み

皆さんは「公開鍵」と「秘密鍵」という二つの異なる鍵を持っています。

この公開鍵と秘密鍵は対になっています。

そして、公開鍵は文字通り、公開しても大丈夫なんですが、秘密鍵はこちらも文字通り、秘密にしなければなりません

ただ、鍵と言っても家や車のカギのように物理的なものではないのでイメージしにくいと思います。

公開鍵と秘密鍵を個別に解説します。

公開鍵

公開鍵は、持ち主の住所(アドレス)のようなものです。

誰でも知ることができ、あなたにメッセージ、仮想通貨を送るために使います

公開鍵の重要なポイントは、暗号化です。

あなた宛てに、あなたの公開鍵で私がメッセージを送ることで、暗号化されるので他の人には中身が見られません。

秘密のやり取りができるようになります。

スピノくん
スピノくん

僕がプテラちゃんの公開鍵で手紙書いたら、アロくん達には見られないんだね

ティラ先生
ティラ先生

その通り!でもプテラちゃんに届くかどうかは公開鍵だけではわからないんだよ

秘密鍵

秘密鍵は、持ち主の家の鍵のようなものです。

この鍵はあなただけが持っていて、他の人には決して見せません。

秘密鍵を使って、あなたが取引やメッセージを承認することで中身を確認できます。

秘密鍵の重要なポイントは、複合化です。

暗号化されたメッセージを見れる状態にするのが秘密鍵ということです。

なので、自分以外の人に秘密鍵がばれていると、中身が見られ放題ということになります。

スピノくん
スピノくん

プテラちゃんが自分の秘密鍵を管理できていれば大丈夫なんだね

ティラ先生
ティラ先生

しっかり自己管理をできていれば他の人に暗号化された内容を見られることはないよ

公開鍵暗号を使うと、あなたは安全に情報を交換でき、他人がその情報を見たり変えたりすることはできません。

これにより、オンラインでの取引や通信が非常に安全になります。

公開鍵と秘密鍵が組み合わされることで、取引の安全性が強化され、データのプライバシーと真正性が保証されるのです

公開鍵暗号の仕組みは理解できたと思うので、次はどのように暗号化されているのかを説明します。

暗号化の仕組みが甘いと怖いですからどのように暗号化されているのかは気になりますよね。

スピノくん
スピノくん

パチユそめわえさお

ティラ先生
ティラ先生

暗号化された文章だね!解読すると「プテラちゃんがすき」だね

スピノくん
スピノくん

バレたの!?

バレてしまうと暗号化の意味ないじゃん

ティラ先生
ティラ先生

ローマ時代のカエサルが作ったシーザー暗号だね

暗号化は時代とともに進化しているから最新の暗号化を説明するね

RSAと楕円曲線暗号

公開鍵暗号の中でも、電子メールに使われている「RSA(アールエスエー)」とビットコインのブロックチェーンに使われている「楕円曲線暗号(だえんきょくせんあんごう)」が特に有名なのでその二つを解説します。

RSA

RSAという名前は、この暗号を考えた3人の名前のイニシャルです。

どのように暗号化されているかというと、素因数分解です。

数学が嫌いな人はもう忘れてしまっているのかもしれないので、素因数分解の説明するので、覚えている人は飛ばしてください。

【素因数分解】
ある数を「素数」と呼ばれる数の掛け算だけで表すことを言います。
素数とは、1とその数自身以外には割り切れない数のことです。
たとえば、2、3、5、7などが素数です。

例えば、30を素因数分解するとき、まずは30が割り切れる素数を探します。
30は2で割れるので、30 = 2 × 15 となります。
次に15を素数で割ってみます。15は3で割れるので、15 = 3 × 5 です。
これで、2、3、5という素数だけで30を表すことができました。
つまり、30の素因数分解は 2 × 3 × 5 となります。

では、0から100000までの間に素数はいくつあると思いますか?

答えは9592個あります。

では、一番大きい素数は何だと思いますか?

最大の素数に関しては、現在も新しい最大の素数が発見され続けており、理論上「最大の素数」というものは存在しません。

現段階では素数は無限にあるといわれており、世界中の数学者が探しています。

では、素数では無い整数「99997」を素因数分解できますか?

おそらく暗算ではできないと思いますが、コンピュータを使えば一瞬でできます。

しかし、もっと桁数が大きい整数の素因数分解はコンピュータを使ってもできません。

RSA暗号の安全性は、このように大きな数の素因数分解の困難さに依存しており、これがデジタル通信のセキュリティを強化するために利用されています。

スピノくん
スピノくん

これは確かに解読できないわ。。

楕円曲線暗号

楕円曲線暗号は、インターネット上で安全な通信を行うための現代的な暗号化方式です。

RSA暗号が大きな素数を使うのに対し、楕円曲線暗号は特別な種類の曲線、つまり「楕円曲線」上の点を使って暗号化と復号化を行います。

この方法の特徴は、曲線上の点に関する計算が非常に複雑で、これを逆に解くことが難しいという点です。

そのため、楕円曲線暗号は非常に強力なセキュリティを提供しつつ、RSAよりも短い鍵で同じレベルの安全性を実現します。

この効率の良さが、特にスマートフォンや小型デバイスでの利用に適しています。

ビットコインなどの仮想通貨や、安全なウェブブラウジング、モバイル決済など、多くの現代技術で使用されています。

楕円曲線暗号についての詳しい仕組みは別記事で取り上げます。

ここでは、RSAよりも効率的でセキュリティ性も高いということを理解してください。

ティラ先生
ティラ先生

現在では最もセキュリティが高い暗号技術が楕円曲線暗号なんだよ

ハッシュ関数

ハッシュ関数とは、ある整数を関数に代入すると適当な値を返してくれる関数といい、返ってきた値をハッシュ値といいます。

ハッシュ値の特徴は下記の通りです。

  1. 一定の出力サイズ: ハッシュ関数は、どんなサイズの入力データに対しても、一定の長さのハッシュ値を生成します。
  2. 高速な計算: 一般的に、ハッシュ関数は非常に高速で計算できます。
  3. 逆算が困難: ハッシュ値から元のデータを特定することは理論上不可能です。
  4. ユニーク性: 異なるデータが同じハッシュ値を生成する「衝突」は理論上は存在しますが、良質なハッシュ関数ではハッシュ値が被る確率は非常に低いです。
  5. 敏感性: 入力データの微小な変更でも、生成されるハッシュ値は大きく異なるので、変更したことはすぐに分かります。

ハッシュ関数は、データの整合性の確認、セキュリティの強化、データの効率的な格納や検索など、様々な用途で広く使用されています。

ブロックチェーン技術においても、取引の一意性や不変性を保証するために重要な役割を果たしています。

データが一度ハッシュ関数を通ると、そのデータの真正性と不変性が保証されるのです

また、ビットコインのマイニングに使われているハッシュ関数は256ビットのハッシュ値が生成されるSHA-256というアルゴリズムを使っています。

別記事で取り上げますが、先に知りたい方は調べてみてください。

ティラ先生
ティラ先生

0と1だけで256桁の数字を作ったら、他の人と被ることはまずないよね
2の256乗してみて!その数値分の通りがあるってことだから

まとめと実用例

ブロックチェーンのセキュリティは暗号化・分散化・不変性で成り立っています。

その中でも公開鍵暗号技術とハッシュ関数は非常に重要な役割を担っています。

これらの要素が組み合わさることで、ブロックチェーンはデジタル取引において高いレベルのセキュリティを提供します。

金融取引、契約の自動実行、サプライチェーン管理など、さまざまな分野でこの技術が活用されており、透明性と効率性を提供しています。

公開鍵暗号とハッシュ関数の組み合わせにより、ブロックチェーンは、信頼できるデジタル取引の新時代を牽引しています。

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